15

海鳴りを味方につけて彼は旅立つ
呑み込まれる方がきもちいいから
詩集の中身は全部きみの名前だよ
この青色、きみにはどう見えてる
水槽の設計図は六角から七角まで
健忘のカナリヤが万死をもたらす
六次の隔たりがのどかに横たわる
それを無っていうんじゃないの?
世界で一番おいしいもの知ってる
純真はひずめばひずむほどに甘い
おままごとのためのチープな脚本


16

愛とか涙とかに求めるべきではない
きみの折った矢がうさぎを射止める
出席番号1番のクオリアをとりまく
露払いとしての点対称、天体ショー
コールド・スリープ・クラスルーム
色づいてくの、なんておこがましい
大切に磨きすぎて失くしてしまった
少年は祭壇へ横たわり白い肌を晒す
輝きも声も与えられたにすぎない物
おぼつかない裸足が伝統の石を踏む
ただ綺麗だった。綺麗なだけだった


17

口の端からはだらしなく、液果が垂れ
わたしのここに名前をかいてください
だれも殺心をくりかえして大人になる
突き放すのならもっと鋭利にお願いね


18

ざらつきを確かめながら歩けばそれは夜
言葉はいらない、持ってきたのはお前だ
いつまで舌を伸ばしてたらいいんだろう
ヒエラルキーはいびつに正三角形だった
ティーポットに代表されるメテオロイド


19

目ざといきみにみつけてほしくて爪を噛む
苦しみに名前を付けたら友達になれるかも
あの子のまわりに見える花びらは造花だよ
対角線はいちばん長いのだ、四角い三角だ


20

めざましを一緒にあわせることから始める?
絡まった糸をずっと見てる、遠くから見てる
君が射抜いたこのぽっかりをもてあましてる
まずは恋情だけを抱えてコロニーに避難した
この世界にあるものすべてが私に優しくない


21

きみの身体を暴きたくても、秘密でさえもない
腐水をいっぱいにためたらガーデニングしよう
隣の席のあなたにだけ、テレパシーが届かない
キスのための時間はたっぷり確保してあります
この世界の因子はわたしとあなた二人でいいよ


22

さよならの前に手繰っておきたいおもいでがある
戯れに暗唱してみせよう、あなたの本当の名前を
真夜中のハイウェーだけがぼくらを祝福してるね
インク瓶の中身は全部、あなたの名前に費やした
愛をささやいた口が同じ慈悲深さでわたしを罵る
みにくく拗れたこころまで剪定できたらいいのに


23

瞬きしたら流星消えた、現実を受け入れ始めるきみ
桃の木の枝の分かれ目にあの日のぼくらおいてきた
ぼくらの運命の輪はあらかじめ捩れていたみたいだ


24~

たとえここが新世界であっても、私は私を見失わない
大丈夫、唇を奪うならきみが起きてるときじゃなきゃ
二度と手放さないようにイニシャルをからめておこうよ
君に触れたつま先を敏感にして眠るのが好きだったのに
君がいる場所を○で囲めば見つけやすくなるだろうから
錬金術師の腹を割いたらそこにはありふれた花があったの
まばゆさを全て吸い込んで光のなかに彼だけが立っていた
カノオプスを見つけに、電車に乗ろう 夜は何度でもある


28

肖像に頬を寄せてもひんやりとした答えが返ってくるばかりで
波打ちぎわはぬるま湯でいつまでも浮かんでいられそうだった
サンダルつっかけようものなら、視界がぎゅっと狭くなったの
夜風にあてられたアスファルトは冷えた棺のように寝心地よく


29~

ぼくがぼくでいられなくなってしまう、盲になってしまうんだよ
一緒に燃やしてほしい/そしたらこの瞬間は身体に帰るだろうか
宇宙の磁力的に、きみと一緒にいられないなんて本当に変な話なんだよ


35~

肝心なことだけを教えてくれないからさいごのさいごで君を心中に誘ってみた
ぼろアパートのゴミ捨て場には、きみにあげたはずの美しい花束が咲いてたのです
月の土地もってたらそこを秘密の部屋にして、キスしたかった さよなら さよなら
ミザントロープ、かのベルベットリボン、獣医の家にうまれ、飼育小屋でねむる美少年、その睫毛の先におちる星屑

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